[1] アッラー*が、ムスリム*たちにキブラ*の変更を命じられた(アーヤ*142以降参照)時、それは、一部の啓典の民*とムスリム*にとっての試練となった。それでアッラー*は、善・敬虔さ*・完全な信仰とは、善行も服従行為も行わず、アッラー*のご命令にも基づかずに、単に東や西を向くことではないことを明らかにされた。信仰者に重要なのは、アッラー*のご命令に従い、向くように命じられた方に向き、定められたことを守ることである、とお知らせになったのである(イブン・カスィール1:485参照)。 [2] 身体の高貴な一部である「首」によって、人間そのものが意図されている(アッ=ズバイディー2:518)。ここでの「首」は、奴隷の解放とその援助、書を交わすことを望む者(御光章33の同語に関する訳注を参照)の援助、捕虜の解放などと解釈されている(アッ=サァディー83頁参照)。
[1] 「キサース」とは、「追う、模倣する」といった意味のアラビア語が由来で、つまり語源的には誰かの行為を模倣(もほう)することである、と言われる(アッ=ラーズィー2:222参照)。しかしイスラーム*用語においては、殺人あるいは傷害の罪を犯した者が、自らが犯したのと同等の罰を受ける刑のこと(クウェイト法学大全21:45参照)。 [2] つまり自由民の殺人は、犯人が同様の自由民である場合においてキサース刑に処され、奴隷や女性も同様である(ムヤッサル27頁参照)。 [3] 被害者の遺族のこと(前掲書、同頁参照)。 [4] 代償金を受け取った後、加害者側を殺すこと(前掲書、同頁参照)。または被害者の遺族は加害者当人にも、それ以外の者にも危害を加えたりしてはならない。刑の執行者は、為政(いせい)者のみである(アル=クルトゥビー2:245参照)。
[1] 「適切な形で遺言」することとは、遺言で贈与に関し、貧しい者をよそに豊かな者に財産を譲ったりせず、自分の財産の三分の一以上を贈与したりしないことなどを指す(ムヤッサル27頁参照)。 [2] このアーヤ*は、各相続人の取り分が定められた遺産相続に関する啓示(婦人章11、12、176参照)前に下ったものと言われる(前掲書、同頁参照)。自分の両親のような遺産相続人にも、遺言で財産を譲(ゆず)ることが出来るという決まりは、最終的には無効化された(アッ=ティルミズィー2121参照)。