[1] 「キサース」とは、「追う、模倣する」といった意味のアラビア語が由来で、つまり語源的には誰かの行為を模倣(もほう)することである、と言われる(アッ=ラーズィー2:222参照)。しかしイスラーム*用語においては、殺人あるいは傷害の罪を犯した者が、自らが犯したのと同等の罰を受ける刑のこと(クウェイト法学大全21:45参照)。 [2] つまり自由民の殺人は、犯人が同様の自由民である場合においてキサース刑に処され、奴隷や女性も同様である(ムヤッサル27頁参照)。 [3] 被害者の遺族のこと(前掲書、同頁参照)。 [4] 代償金を受け取った後、加害者側を殺すこと(前掲書、同頁参照)。または被害者の遺族は加害者当人にも、それ以外の者にも危害を加えたりしてはならない。刑の執行者は、為政(いせい)者のみである(アル=クルトゥビー2:245参照)。