[1] この「器」とは、王が飲食用に用いる器。一説には金製、あるいは銀製だった。ユースフ*がこれをビンヤーミーンの荷物の中に忍ばせたのは、彼に盗みの嫌疑(けんぎ)をかけ、拘束して自分のところに留めるためだった。というのもヤァクーブ*の法では、盗人の罰は、被害者の奴隷*となることとして定められていたからである(イブン・ジュザイ1:421-422参照)。アーヤ*75とその訳注も参照。
[1] ユースフ*は彼の弟を兄たちから引き取りたかったが、当時のエジプトの法では、盗みの罰は鞭打ちと罰金刑のみであったとされる。それでユースフ*はアッラー*のお示しにより、彼らの裁決を彼ら自身の法に任せ、その目的を上手く果たしたのであった(アル=バガウィー2:505参照)。 [2] そして知の頂点には、アッラー*がおられる(ムヤッサル244頁参照)。
[1] この「盗み」については、「母方の祖父が崇めていた偶像を取って壊したこと」「食卓の食べ物を隠し取っては、貧者*に与えていたこと」など諸説あるが、いずれもユースフ*とビンヤーミーンとは母を異にする兄たちの、自らの体面を気にした言い逃れである(アル=バガウィー2:506、アッ=サアディー402頁参照)。