[1] マディーナ*には、ムスリム*たちがそこに移住*した後、彼らを憎み、様々な策謀(さくぼう)を計画した、アブー・アーミル・アッ=ラーヒブという男がいた。しかしムスリム*たちが勢力を強めた後、彼は「ローマ軍を従えてマディーナ*を攻撃するから、砦(とりで)を用意しておくように」とマディーナ*の偽信者*たちに約束し、ローマ帝国に亡命する。それに応じて偽信者*らは、ムスリム*軍がタブークに出征する前、マディーナ*のクバー・マスジド(アーヤ*108「マスジド*」の訳注も参照)近くに彼らのマスジド*を建てた。雨夜などにそこに行けない人々のため、という名目だったが、実際は礼拝者たちの分断やムスリム*に対する策謀の場とすることを目的としていた。預言者*はそこで礼拝するよう頼まれたが、タブークの戦い*からマディーナ*に戻る途中、このアーヤ*が啓示された。結局そのマスジドは、破壊された(イブン・カスィール4:210-212参照)。
[1] アーヤ*107の訳注にもあるように、これはイスラーム*史上初のマスジド*であるクバー・マスジドのことであるとされる。イスラーム*において二番目に徳がある預言者*マスジド*が、クバー・マスジドよりも礼拝するにふさわしい場所であることは、言うまでもない(ムヤッサル204頁参照)。 [2] 水で身の汚れを清め、罪の赦しを乞うことと敬虔さ*により、心の罪を清めること(前掲書、同頁参照)。
[1] 「心がばらばらに張り裂けるまで」の解釈には、「殺されるまで」「死ぬまで」「とても後悔して、アッラー*に悔悟し、かれを非常に恐れるようになるまで」といった解釈がある(ムヤッサル294頁参照)。