[1] 「サファーとマルワ」とは、マッカ*のハラーム・マスジド*に面した、全長約四百mの通路を挟(はさ)む、二つの丘のこと。「サファーの丘」から始めてその間を三往復半する行(ぎょう)は「サァイ」と呼ばれ、ハッジ*とウムラ*における必須(ひっす)項目の一つである。 [2] ハッジ*でもウムラ*でも、「サァイ」は巡礼*における必須項目の一つ。しかしこのアーヤ*で、それがあたかも任意の行為であるかのように述べられているのは、このアーヤ*が下った当時、マッカ*はまだ不信仰者*の支配下にあり、サファーとマルワの両丘には偶像があったからである。それでムスリム*たちはウムラ*を行う際、そのような状況でサァイを行うことに躊躇(ちゅうちょ)していたが、アッラー*はそのような中でもサァイを行ってよい、と許可された(アル=ブハーリー1643参照)。